みちぱん書評録

しがない書店員・みちぱんによる超絶個人的見解の書評記録

寺地はるな「ビオレタ」

ビオレタ

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著:寺地はるな 版元:ポプラ社

婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、ひょんなことから雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店だった…。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。

(「BOOK」データベースより)

 

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みちぱん

今回はこちら。
寺地はるなさんの「ビオレタ」です。

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ブンちゃん

このカバーってことは、あるかしら文庫のやつか。

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みちぱん

そうです。これから私が読むポプラ文庫は
しばらくフェアで買ったものが続きます…。
しかし、このビオレタはフェアになってなければ
手を伸ばさなかったと思うんですよ。

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ブンちゃん

紹介文にひかれたってこと?

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みちぱん

それもあるし、この女性がめっちゃくたびれていて
「い、いったい何が起こったんだ」と
気になってしまいました。

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ブンちゃん

…確かに、とんでもなく疲れ切った顔だね。

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みちぱん

実際に婚約者にフラれたって考えたら
まぁこんな顔になりますよね…。
でもこの登場人物たち、好きだと思う人がいなくて(笑)

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ブンちゃん

それは珍しい。

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みちぱん

良くも悪くも、「こんな人いるよな」って
感じの人ばかり出てきます。
物語にも起伏のようなものがあまりないように
感じるのですが、だからこそリアルです。
一気にガーッと読んでしまいました。

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ブンちゃん

そうかなぁ。店主の菫さんなんて
すごい変わっていると思うけど。

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みちぱん

そうなんですけどね…そんなに
好きになれなかったんです。
タイトルのビオレタってなんだろうと思っていたのですが
お店の名前であり、スペイン語で
「菫」の意味なんですよね。

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ブンちゃん

確か、菫さんのお父さんがつけたんだっけ。
スペイン語ってところがちょっとひねってるよね。

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みちぱん

英語だと安直、とか思ったんですかね(笑)
そういえば、菫さんの言葉ですごい共感したのが
この一言なんですけれど…。

 

「だって傷つけたくないですから。母を」

菫さんは爪を見たままブッと吹きだす。

「お母さんを傷つけるようなひどいわたし、になりたくないだけでしょう。あなた自分の要求はなんのためらいもなくばんばん言うじゃない」

(「ビオレタ」P32より) 

 

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みちぱん

これって真理だよなぁって思うんです。

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ブンちゃん

どういうこと?

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みちぱん

人のことを心配しているときって
それを無視するひどい自分に
なりたくないだけなんじゃないかなぁって。
全部とは言いませんけど、自己満だなって。
でもそれでいいと思うんですよ。
そうだと理解して「心配」したほうが
善意の押し付けとか、そういうの
なくなりそうじゃないですか?

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ブンちゃん

まぁ、善意の押し付けは滅んでほしいよね。

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みちぱん

主人公である妙は、菫さんたちとの出会いで
変わったかと言われれば、きっと
変わっていないと思います。
でも、絶対に言いきれることは、
以前より自分のことを、自分のまわりのことを
理解できるようになったと思うんです。
それって素敵なことだと思います。